ビジネスチャンスが広がる山梨県
現在、山梨県の経済環境は変化の狭間にあり、ビジネスを発展させる契機が増えています。
2013年6月に富士山が世界遺産に登録され、同年12月には和食が無形文化遺産に登録されて県内ワインにも影響が出ています。また、2020年には東京五輪・パラリンピックの開催、そして2027年にはリニア中央新幹線の開通などイベントが目白押しです。それらの外部環境の変化は、革新的な取り組みによって飛躍する機会が与えられる千載一遇のビジネスチャンスでもあります。
一方で、人口が減少傾向にあることや有効求人倍率は依然1倍を下回っているなど、明るい見通しにあるとは言えません。このような環境の中で県内経済を改善させるには、外部環境の変化と県内の資源を組み合わせた新結合、いわゆるイノベーションが鍵となります。
鍵となるイノベーション
イノベーションとは、オーストリアの経済学者シュンペーターが、新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産することと初めて定義しました。その著書「経済発展の理論(1912年)」の中で、経済発展は人口増加や気候変動などの外的な要因よりもイノベーションのような内的な要因が主要な役割を果たし、その立役者として起業家が新しい価値を創造していくこと、または既存の価値を破壊して新しい価値を創造していくこと(創造的破壊)が経済発展の源泉であると述べています。
これまでの日本を振り返ってみても、ビデオデッキ、WALKMAN、ノート型パソコンなどのイノベーションが日本経済の発展に寄与してきたと言えます。現在は、創造的破壊のイノベーションが人々の生活に影響を与え、アップルのiPodやiPhone、TOYOTAのプリウスなどが代表的な事例です。何と言っても最大のイノベーションはインターネットではないでしょうか。ここ十数年の間に爆発的に普及し、今では当たり前のように生活に浸透しています。そして、Google、Yahoo、Amazon、Facebookなどのネットサービス企業の勢いは止まりません。これらのネットサービスは、インターネットによってインフラという外部環境が変化して、そこから派生したイノベーションです。
イノベーションが起こる要因の一つに外部環境の変化があり、新しいものを生産する発想へと繋がることがあります。変化の狭間にある県内には、その変化を新規事業や事業拡大の切り口として捉えられれば大きく飛躍する可能性があります。
次回は、変化する外部環境と県内資源の新結合により起こり得るイノベーションについて考察してみます。