【経営思考】経営におけるリスク(不確実性)の捉え方と低減方法

01.11

経営は、リスク(不確実性)をどのように捉え、回避あるいは低減していくかに尽きます。

経営におけるリスク(不確実性)の捉え方

事業が成功するのには理由があります。また、事業が失敗するのにも理由があります。成功するだろう理屈を立てた計画で事業を起こしても失敗するのはなぜでしょうか?それは、前提条件(業界の構造や特質、文化等)が想定と異なっていた、または、前提条件が変わってしまったからです。実際に事業を始めてみて想定していた前提条件が異なっていたり、始めてから気づくことがかなり多いです。それが、リスク(不確実性)です。なお、経営努力といったコントロール可能な部分はリスクではありません。

リスクを捉えるには、類似の事例を学習することや想像力を発揮して予想すること、また、現象に近づくことでその範囲や量といったインパクト(影響)及び発生確率などを予測することができます。重要なのはインパクトと発生確率であり、それらは取り巻く外部環境や選択していく事象によって刻々と変化していきます。

一方で、経営におけるリスクはリターンとの兼ね合いもあり、リスクを上回るリターンが期待できると判断した場合、リスクが小さく見えます。しかし、リターンが大きくても失敗をして致命傷を負えば敗者復活戦ができなくなります。後述する有人飛行を成功させたライト兄弟はそれを肝に銘じていたのだと思います。

経営におけるリスクについての学術的な意見

本テーマのタイトル「経営におけるリスク(不確実性)の捉え方と低減方法」について、学術的な研究テーマとしても多く取り上げられており、以下はリスクについての意見を抜粋したものです。

ペンシルバニア大学ウォートンスクールのイアン・マクミラン教授は、「早く、安く失敗する方法を考えよ(fail fast, fail cheap)」と述べています。失敗のコストが大きくなり過ぎる前に、早く、安く重要な仮説を検証する方法を考えるのが肝要ということです。

ミンツバーグとウォーターズは『用意周到な戦略と不意に生じる戦略(2006)』において、不確実性が高い環境で物事がうまくいくとすれば、それは事前に立てた計画が正しいからではなく、試行錯誤を繰り返した結果、そこから正しい戦略がおそらく偶然に現れるからだというものだ、と述べています。

『イノベーションのジレンマ』で有名なクレイトン・クリステンセンの愛弟子、スコット・アンソニーが著者の『ザ・ファーストマイル イノベーションの不確実性をコントロールする(2014)』では、新規事業を成功させることは飛行機を発明するのに近いと述べています。有人飛行を成功させたライト兄弟は命を落とした技術者と比べて天才的な設計センスを持っていたわけではなく、ライト兄弟は早くから実験の重要性に気づき、数多くの実験を行うことに知恵を絞り、実験から確実に学ぶことに集中した結果、成功に至ったのです。アイデアをビジネスに結び付けるための第一歩(ファーストマイル)が最も不確実性が高く、思考錯誤を繰り返すことが有効だと述べています。

早稲田大学ビジネススクールの入山章栄准教授は、『世界の経営学者はいま何を考えているのか(2012)』にて、”不確実性の高い事業環境では、事業計画とは単に計画を練るためのものではなく、事前に不確実性を洗い出し、仮定は仮定としてつねに認識し、それを恒常的にチェックするために行うものである”と、述べています。

リスクを低減するには

上述のとおり、事業には不確実性がつきものです。それらのリスクを低減するには、大きな失敗コストが伴う計画を徹底的に作成しないことや試行錯誤から不確実な事象を明確にしていき、少しずつリスクを低減していくことが成功の要因と考えられます。市場テストやプロトタイプの製作は、実際の市場にて試験を行うため、想定外の事象を洗い出すのに有効です。

また、想定外の事象が発生した際にどのような対応体制であるかも重要です。想定外の事象は、責任問題となるため対応を嫌がる人が多く、対処が遅くなると致命的な問題に発展する可能性もあります。通常は、上級役職者が例外処理を担当するため、想定外の事象が発見された時点で、上級役職者が先導して対応していきます。解決後はマニュアル化することで想定外の事象を減らし、今後の事業運営のリスク低減に繋げていきます。

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